歯周病

歯周病とは?

歯周病とは?

歯周病は、歯と歯茎の間に溜まった歯垢(プラーク)に含まれる細菌が原因で発症する慢性感染症です。細菌が歯茎の奥深くに入り込み、炎症を引き起こすことで、歯茎の腫れや出血、歯を支える骨(歯槽骨)の破壊を進行させます。

歯肉炎と歯周炎の違い

歯肉炎 歯茎に炎症が起こるが、まだ歯槽骨は破壊されていない状態。
歯周炎 炎症が進行し、歯槽骨が溶け始め、最終的には歯が抜けてしまうリスクがある。

歯周病は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、痛みを感じないまま進行するため、気づいたときには重症化していることもあります。早めの検査と治療が大切です。

歯周病と全身の健康との関係

歯周病は、お口の中だけでなく、全身の健康にも影響を与えることがわかっています。

特にこれらの疾患との関連が深いと報告されています

糖尿病
  • 歯周病と糖尿病は相互に悪影響を与え合う関係にあります。
  • 糖尿病の方は、免疫機能が低下するため歯周病にかかるリスクが2~3倍高いとされています。
  • 歯周病が進行すると、炎症部分からインスリンの働きを妨げる物質が分泌され、血糖コントロールが難しくなる。
動脈硬化
  • 歯周病の原因菌が血管内に入り込むことで、動脈硬化を引き起こすリスクが高まるとされています。
  • 血管の健康に影響を与え、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを高める可能性があります。
  • 歯周病を予防することは、お口の健康を守るだけでなく、全身の健康を維持するためにも重要です。

歯周病の進行度

歯周病は、進行段階によって症状や対処法が異なります。

段階 歯周ポケットの深さ 症状・特徴
健康な歯茎 1~2mm
  • 歯茎が引き締まり
  • 炎症なし
歯肉炎(初期) 2~3mm
  • 歯茎が腫れ
  • 歯みがき時に出血することがある
  • 歯槽骨はまだ破壊されていない
軽度歯周炎 3~5mm
  • 歯茎の炎症が悪化
  • 歯周ポケットに細菌が増殖
  • 歯槽骨が溶け始める
中度歯周炎 4~7mm
  • 歯茎が後退
  • 歯槽骨の破壊が進む
  • 歯がぐらつき始める
重度歯周炎 6mm以上
  • 歯槽骨の大部分が破壊される
  • 歯が抜け落ちるリスクが高まる

※表は左右にスクロールして確認することができます。

初期段階で適切なケアをおこなえば、進行を防ぐことが可能ですが、重度になると歯を残すことが難しくなるため、早めの対応が大切です。

歯周病の検査

プロービング検査

「ポケットプローブ」という専用器具を使い、歯周ポケットの深さや出血の有無を確認します。
歯周ポケットが3mm以上の場合、すでに歯周病の進行が疑われます。

レントゲン撮影

歯槽骨の破壊状況を確認するためにおこないます。
目に見えない部分の状態を把握し、治療計画を立てるのに役立ちます。

口腔内チャートの作成

歯周病の進行度、歯垢や歯石の付着状況、歯の動揺の有無などを記録し、治療の指標とします。

歯周病の治療

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)

歯周ポケット内の歯垢・歯石を徹底的に除去し、炎症を抑えます。
進行した場合は、歯茎を切開して歯根を直接クリーニングする外科処置をおこなうこともあります。

メインテナンス(SPT)

治療後の状態を維持するため、定期的に歯垢や歯石を除去します。
歯周病は再発しやすいため、治療が完了した後も継続的なケアが重要です。

歯周病予防には「セルフケア」と「定期メインテナンス」が必須

歯周病の予防には、日々のセルフケアと歯科医院での定期的なメインテナンスが不可欠です。

「痛みがないから大丈夫」と思わずに、
定期的なチェックを受け、
健康な歯と
歯茎を維持しましょう。

セルフケア

  • 正しい歯みがき(歯間ブラシ・フロスの併用)
  • 食生活の改善(糖分摂取を控え、バランスの良い食事を心がける)
  • 禁煙(喫煙は歯周病の進行を加速させる)

定期メインテナンス

  • 3~6ヶ月ごとの歯科検診
  • 専門的なクリーニング(歯垢・歯石の除去)
  • プロービング検査で歯周病の進行チェック

全身の健康にも関わる重要な疾患として

伊藤歯科クリニックでは、歯周病を
単なる
口腔内の問題ではなく、
全身の健康にも関わる重要な疾患として捉えています。

歯周病は基本的に免疫系の問題です。口腔内の細菌に対して体の免疫系が炎症反応を起こし、その結果として歯を支える骨が壊されていきます。興味深いことに、当クリニックのデータによると、歯周病は25歳頃から徐々に進行し始め、50歳前後で急激に悪化することが多いという傾向が見られます。

重要なポイントは、歯周病が
「不可逆的な疾患」
であるということです。

一度壊れた骨は基本的に元に戻りません。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

歯周病と全身疾患との関連

研究によると、歯周病は心筋梗塞や脳梗塞などの血管系疾患のリスクを高めたり、妊婦さんの場合は低体重児出産のリスクを上げたりする可能性があります。特に高齢者の場合、誤嚥性肺炎のリスクとも密接に関連しています。

治療においては、口腔内の細菌叢(細菌のバランス)のコントロールがカギ

治療においては、口腔内の細菌叢(細菌のバランス)のコントロールがカギ

当クリニックでは患者さんお一人ひとりの状態やリスクに合わせた歯周病治療プログラムをご提供し、定期的なメインテナンスを通じて長期的な管理をおこなっています。専門的なクリーニングで歯垢や歯石を除去するとともに、ご自宅での適切な歯みがき方法の指導もおこないます。歯周病は「治して終わり」の病気ではなく、継続的なコントロールが必要な慢性疾患であることをご理解いただき、共に健康な口腔環境を維持していきましょう。

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