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最小侵襲(MI)治療の基本概念
最小侵襲(MI)治療とは、歯へのダメージを最小限に抑えながらおこなう治療法です。従来のむし歯治療では、感染部分を削って詰め物をすることが一般的でしたが、歯科医療の進化により、できるだけ歯を削らずに再石灰化を促進し、むし歯の進行を防ぐアプローチが重視されるようになりました。
最小侵襲(MI)治療は、歯の健康を長く維持するために欠かせないものです。
むし歯の根本原因を見直し、フッ素塗布や適切なブラッシングなどで歯の再生力を高めることで、可能な限り歯を残すことができます。むし歯を削って詰める従来の方法は一時的な処置に過ぎず、最小侵襲治療は「歯を守る」という視点から根本的なアプローチを取ります。
伊藤歯科クリニックのMI治療への取り組み

伊藤歯科クリニックでは、MI(Minimal Intervention:最小限の侵襲)の概念を大切にしています。これは「できるだけ歯に手を入れたくない」という基本的な考え方に基づいています。
人間がおこなう治療には限界があり、人工物で修復しても元の歯の強度や機能を完全に再現することはできません。そのため、歯の健康な部分を最大限に残し、必要最小限の処置で済ませることが重要です。
当クリニックでは「枕を抑える」という哲学を大切にしています。これは中国の古典『孫子の兵法』に由来する考え方で、問題が大きくなる前に小さな介入で解決するという意味です。例えば、人が起き上がろうとするときに全身を押さえつけるのは困難ですが、起き上がり始めた瞬間に枕(頭)を軽く押さえれば簡単に抑えられます。
歯科治療においても同様です。初期の虫歯であれば、フッ素塗布などで再石灰化を促し、削らずに治癒させることも可能です。また、歯が生え始める段階での適切な介入(例えば透明な樹脂で誘導するなど)により、将来の大きな矯正治療を回避できることもあります。
問題が大きくなってから対処するよりも、初期段階での最小限の介入の方が、患者さんの負担も少なく、結果も良好になります。当クリニックではこのMIの考え方に基づき、患者さんの天然歯を可能な限り長く健康に保つことを目指しています。
最小侵襲(MI)治療と再発予防
従来のむし歯治療では、詰め物と歯の隙間にプラークが溜まり、再びむし歯が発生しやすくなります。これにより、治療を繰り返すたびに歯が削られ、最終的に抜歯が必要になることも少なくありません。最小侵襲治療では、この負のサイクルを断ち切ることを目的とし、削る量を最小限にしながら、口腔環境を改善することで再発のリスクを抑えます。
また、適切なブラッシング指導やフッ素塗布、食生活の見直しなど、再発を防ぐための総合的なアプローチが重要です。単なる「治療」ではなく、「歯の健康を守る」ことを第一に考えた治療法といえます。
「治療」と「修復」の違い
むし歯治療において「詰め物」や「被せ物」をすることは、あくまで「修復」に過ぎません。むし歯や歯周病の原因は、単に歯が壊れることではなく、口腔環境の悪化や生活習慣によるものです。最小侵襲治療では、むし歯の原因を改善し、予防することを重視します。単に欠けた部分を補うのではなく、むし歯になりにくい環境を作ることが、本当の意味での「治療」なのです。
欠損補綴における最小侵襲(MI)治療
歯を失った場合、必ずしもブリッジやインプラント、入れ歯といった治療が必要とは限りません。歯を失ったことで、話しにくい、食事がしにくいなどの機能的な問題がある場合は治療が必要ですが、見た目や生活に支障がない場合、そのままにしておく選択肢もあります。
ただし、多くの歯を失った状態を放置すると、残っている歯や顎の関節に負担がかかり、かみ合わせの問題につながることもあります。そのため、患者さんの生活スタイルや口腔内の状態に応じて、治療方針を決めることが大切です。治療の目的を「見た目の回復」ではなく、「快適な生活の維持」と考えることで、必要以上の治療を避けることができます。
歯列不整と最小侵襲(MI)治療
歯並びの乱れ(歯列不整)は、遺伝的な要因だけでなく、生活習慣によっても引き起こされることがあります。
このような習慣が影響を与えることが知られています
- 口呼吸
- 指しゃぶり
- 唇を噛む癖
- 頬杖をつく習慣
これらの習慣により、歯や顎に不均衡な力がかかり、歯並びが乱れることがあります。最小侵襲治療の考え方では、大がかりな矯正を行う前に、これらの悪習慣を特定し、改善することで、歯並びの乱れを予防することを重視します。
また、歯列の乱れが軽度な場合は、矯正装置を使わずに簡単な方法で改善できるケースもあります。定期的な検診をおこない、早い段階で歯並びの変化をチェックすることで、大掛かりな矯正をせずに済む可能性が高まります。
最小侵襲(MI)治療を成功させるための定期的なメインテナンス
最小侵襲治療を成功させるためには、継続的なメインテナンスが欠かせません。時間の経過とともに口腔内の状態は変化し、むし歯や歯周病のリスクも高まるため、定期的なチェックが必要です。
特に、歯列不整やむし歯の初期段階では、早期発見・早期対応が重要です。適切なタイミングでの介入により、必要最小限の治療で健康な歯を維持できます。最小侵襲治療は、単に「歯を削らない」という考え方ではなく、患者さんの口腔全体を総合的に管理し、最小限の処置で最大の効果を得ることを目的としています。
定期的な歯科検診を受け、
口腔環境を整えることで、
健康な歯を長く保つことができます。
伊藤歯科クリニックでは、最小侵襲(MI)治療の理念に基づき、患者さんお一人ひとりの歯を大切に守るための診療をおこなっています。歯についてのご不安やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。